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「足利セラミックラボラトリー事件」判決が「労働判例」１３１８号に掲載されました。 （弁護士 野呂 圭）
2024.12.27
私が原告代理人を務めた「足利セラミックラボラトリー事件」の仙台高裁２０２３年１１月３０日判決及びその原審の仙台地裁２０２３年６月１日判決が「労働判例」１３１８号７１頁以下に掲載されました。この事件は、多くの争点がありましたが、ほぼ原告の主張が認められる結果となりました。
【基本給の額及び時間外労働割増賃金】
被告は求人票で基本給１７万円と案内し、原告もその前提で入社しました。しかし、給与明細には基本給与１３万３０００円、超過勤務手当３万７０００円と記載されていました。原告は、このような説明を受けていないし、同意もしていないとして基本給１７万円の支払いと基本給１７万円を基礎賃金とする時間外労働割増賃金（残業代）の支払いを求めました。
仙台地裁判決も仙台高裁判決も、原告の主張を認めました。また、始業時刻前の時間外労働についても、仙台地裁判決は否定していましたが、仙台高裁判決は肯定しました。
【変形労働時間制】
被告は、１年間の変形労働時間制が適用される旨主張していました。これに対して、原告は、変形労働時間制に係る労使協定の手続（過半数労働者の選定手続）に瑕疵がある旨主張しました。仙台地裁判決及び仙台高裁判決は、原告の主張を受け容れ、変形労働時間制は無効であるとしました。
【消滅時効】
被告は、基本給及び残業代の一部について消滅時効を援用しました。仙台地裁判決は消滅時効を認めましたが、仙台高裁判決は消滅時効の援用は権利の濫用であるとして排斥しました。
【不法行為】
� “鏐霏緝充圓�原告に対して、基本給を１４万円に減額させる雇用契約書の締 結を求め、原告が署名を拒否すると、署名しなければ雇用関係が消滅するかのような言動をしたことについて、仙台地裁判決及び仙台高裁判決ともに不法行為であると認定しました。
�◆“鏐陲�原告に対して行った本社（群馬県太田市）から仙台事業所へ配転命令について、仙台地裁判決は不法行為の成立を否定したものの、仙台高裁判決は不当な動機・目的の下に行われたものとして不法行為の成立を認めました。
�� 被告が原告に対して行った仙台営業所での歯科技工士業務から営業職への配転命令については、仙台地裁判決及び仙台高裁判決ともに不法行為の成立を認めました。
�ぁ＼臑羚盧枷酬茲蓮�各不法行為による原告の精神的損害（慰謝料）として１００万円を認定しました。
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